21年度

第2回アパレル問題研究会-ディスカッション

事例1 ウェットクリーニング後の色なき
事例2 家庭水洗いによりねじれが発生
事例3 ドライクリーニング後装飾糸消失
事例4 保管中の変色

事例4 保管中の変色

事例データ
商品 ハーフコート
苦情内容 ドライクリーニング後、ビニールカバーで包装された状態でハンガー吊りで保管していたところ、変色が生じた。
組成表示 本体:ポリエステル 75%/ナイロン25%
刺繍部分:レーヨン 100%
中わた:ポリエステル 100%
裏地:キュプラ 100%
取扱い絵表示
苦情品の外観 衿・袖・身頃裾部分に、薄黄緑色から赤っぽい変色が見られる。
関連する試験データおよび情報 JIS L 0855
酸化窒素ガスに対する堅ろう度 強試験
変退色1-2級
検討内容
  • 1.何故この現象が起こるのか?
  • 保管時ポリプロピレン・ポリエチレン等包装フィルムに含まれる酸化防止剤(BHT)が昇華し、酸化窒素ガスが反応して黄変したことが考えられる。
  • 製品の特性、または技術限界として避けることができない現象と言えるのか?
  • 黄変事故の発生は、素材の性質を知り、加工剤及び包装資材の選定、製品の保管条件(環境等)について注意することで、事故の発生を最小限に止めることは可能。
  • 3.商品を企画・生産・販売する際の注意事項と対策
  • ・生産及び流通過程での製品管理は、高温多湿・酸化窒素ガス・紫外線暴露を避ける。また空調換気を含め環境に注意。
  • ・カチオン系柔軟剤の使用に注意(酸化窒素ガスに影響するものがある)。その他、NOx・BHTを吸着しやすい加工剤・仕上げ剤の使用を避ける。
  • ・酸化防止剤の影響による黄変は、生地素材のPHをクエン酸やリンゴ酸で酸性側に表面加工することで黄変の防止可能。
    なお、酢酸蒸気暴露または日光暴露(2~3時間)で黄変が消失すれば、酸化防止剤の影響による黄変と判断できる。
  • ・包装フィルムは、酸化防止剤(BHT)を含まないものを使用。また、完全密封する。
  • ・クリーニング店が使用する包装用カバー及びプラスチックハンガーは、再使用しないよう注意。
  • ・石油・ガスストーブ等のガスが滞留する場所、及び高温多湿の場所での保管は避ける。

グループディスカッション                        発表の様子

掲載の検討結果は、あくまで課題試料の観察及び事故状況の推定に基づいて検討した結果の一つであり、試験や分析から導いたものではありませんので事実と異なることがあります。ご了承ください。