20年度

第3回アパレル問題研究会-ディスカッション

事例1 商業ランドリー後の衿・カフス収縮
事例2 商業ランドリー後の前立て横身頃の波打ち
事例3 縫い目滑脱
事例4 ダウンの吹きだし
事例5 前立ての折れ・変形

事例1 商業ランドリー後の衿・カフス収縮

事例データ
商品 カジュアルシャツ
苦情内容 商業洗濯をしたら、衿やカフスが著しく収縮した。
組成表示 綿100%
取扱い絵表示
苦情品の外観 衿やカフスで表地が余り、シワが目立つ。また衿端が反り返った状態になっている。
関連する試験データ 寸法変化率 JISL1096 F-1法 たて0.0% よこ-1.0%
検討内容
  • 1.何故この現象が起こるのか?
  • ・商業クリーニングの仕上げ時に高温の濡れがけプレスされる事で芯地が収縮し、生地がダブってシワが発生。
  • ・芯地(ポリアミド)の耐熱性とプレス温度及びプレス時間の不適合
  • 2.製品の特性、または技術限界として避けることができない現象と言えるのか?
  •  商業クリーニングでの高温・濡れがけプレスに対応できる芯地が開発されていないと思われる。商業クリーニング時の濡れがけプレス温度(熱板温度)は、高生産性を優先した工場ではおおよそ160℃超となると思われ、衿やカフスの芯地が乾くまでプレスされると、芯地は相当な温度となる事が推測される。
  • 3.商品を企画・生産・販売する際の注意事項と対策
  • ・企画・生産においては、商業クリーニングされる可能性のあるシャツには、耐熱性に問題があるポリアミドではなく、比較的耐熱性が高く収縮の小さい高密度ポリエチレンなどを使用する。
  • ・販売は、商業クリーニングで濡れがけプレスされると収縮は避けがたい事(つまり、低料金クリーニングされると)を説明し、なるべくハンドアイロン仕上げをしてもらうよう、説明する。
  • ・クリーニング業者は、収縮の可能性がある事を受付時に説明し、ハンドアイロン仕上げを勧める。濡れがけプレスの場合は、プレス温度、プレス時間に注意し、また、プレス時に変形や収縮した状態でプレスするのではなく、形を整え、引き延ばしてプレスするようにする。プレス時にプレス機が引っ張りながらプレスする「ストレッチプレス機」を使用する。

掲載の検討結果は、あくまで課題試料の観察及び事故状況の推定に基づいて検討した結果の一つであり、試験や分析から導いたものではありませんので事実と異なることがあります。ご了承ください。