20年度

第2回アパレル問題研究会-ディスカッション

事例1 柄糸のみの毛羽立ち
事例2 モール糸の部分毛羽脱落
事例3 糸の飛び出し
事例4 腿後側の毛羽立ち
事例5 ブクツキの発生

事例2 モール糸の部分毛羽脱落

事例データ
商品 レディースセーター
苦情内容 1年程度の着用で脇下部分のモール糸が抜けてしまった。
組成表示 レーヨン80%、アクリル20%
取扱い絵表示
苦情品の外観 非常に柔らかなモールセーター。脇下部分では完全に花糸が脱落している。他の部位でも脱落が見られる。
取扱注意表記観 製品を裏返して洗ってください。
ネットを使用してください。タンブラー乾燥はお避け下さい。
スチームアイロンを浮かしながら整形してください。
関連する試験データ及び情報
検討内容
  • 1.何故この現象が起こるのか?
  •  着用摩擦を受けやすい部分に集中して花糸の脱落が発生していることから、本品のモール糸は、着用摩擦に弱い(特に脇の下の脱落が激しいことから湿潤摩擦に弱い)ものと推定。主に、柔らかさなどの風合いを優先させるため、熱融着糸を使用していないものと推定(顕微鏡写真参照)。
  • 2.製品の特性または技術限界として避けることのできない現象といえるか?
  •  風合いを重視すると技術限界と言える。ファッション性と耐久性などの実用性とは、多くの場合反比例する事が多い。
  • 3.商品を企画・生産・販売する際の注意事項と対策、クリーニングにおける注意事項と対策
  • ・実用性重視であれば、熱融着糸を使用する。特に花糸の太さに適した熱融着糸を使用する。
  • ・モール糸使いの製品は、摩擦や引っかけ等で毛羽が脱落したり、飛び出しが起こることを取扱注意表示や下げラベルに記し、販売時に説明する。
  • ・クリーニング時は、他の商品との摩擦や引掛けを避けるためにネットを使用し、できるだけ単品(または少点数)で機械力を小さくして洗うこと。

↓顕微鏡写真

掲載の検討結果は、あくまで課題試料の観察及び事故状況の推定に基づいて検討した結果の一つであり、試験や分析から導いたものではありませんので事実と異なることがあります。ご了承ください。