19年度

第2回アパレル問題研究会-ディスカッション

事例1 洗濯による部分収縮
事例2 商業ドライの繰り返しによる汚染
事例3 洗濯による部分収縮
事例4 洗濯の繰り返しによる白化
事例5 洗濯による全体的なバブリング
事例6 洗濯による斜行

事例6洗濯による斜行

事例データ
商品 カットソー
苦情内容 家庭洗濯をしたら脇縫い線が前後に回り込んでしまった。
組成表示 綿100%
取扱い絵表示
苦情品の外観 脇縫い線が内外で4cm前後ずれている。

左脇縫い線が前へ、右脇縫い線が後側に回り込んでいる。

吊り編み機(アングルミユキ資料より引用)古いタイプの丸編み機だが、給糸数を少なくし、糸にテンションを掛けずゆっくり編み立て、編み上がった生地もリラックスした状態なので、歪みが少なく斜行も起こりにくい。生産性は極めて悪いが、独特のフンワリした生地が得られる。
検討内容
  • 1.何故この現象が起こるのか?
  • ・本品のようなカットソーは、多くの場合丸編み機によって筒状に編まれた生地を開反して裁断(カット)し、縫製(ソー)したもので、丸編み機で筒状に編まれる際、給糸数や給糸スピード等の条件によって、円周方向にねじれが発生し、そのねじれを補正した生地を縫製した製品が水に濡れると緩和して、元のねじれが再現してしまう事による。
    特に単糸の天竺などに発生しやすい。これは、一方向に撚られた糸が持つトルクが、ループを形成して編まれる際、単純な平織り組織では一方向の歪みになってしまうため。
  • 2.判断基準と試験方法
  • 製品での洗濯試験により斜行度を見る。
    ニットの場合、斜行度5~7%以下が目安。
  • 3.商品を企画・生産・販売する場合の注意事項
  • ・斜行を防止する手だてを施す。
    1)Z撚りとS撚りの糸を交互に配置する
    2)双糸使いにする(下撚りと上撚りのバランスに注意)
    3)樹脂加工などによる形態安定加工
    4)編み立て時の給糸数やスピードを落とす
    5)生地の矯正(修正)を最小限に留める
    6)「水洗い後のタンブル乾燥禁止」表示
  • 4.クリーニング・家庭洗濯時の注意事項
  • ・過剰な機械力に注意
  • ・洗濯後の干し方に注意。形を整えて平干しにする。
  • ・水洗いした後のタンブラー乾燥は厳禁。
  • ・少々の斜行なら、アイロン仕上げで修正は可能。
  • 5.その他
  • 本品の胸のプリントを考慮すると、401表示は、不適当。

掲載の検討結果は、あくまで課題試料の観察及び事故状況の推定に基づいて検討した結果の一つであり、試験や分析から導いたものではありませんので事実と異なることがあります。ご了承ください。